5億1000万年前の古生代カンブリア紀の地層が、日立市周辺で発見されています。この地層は日本最古の地層で、日本列島創生の核となる地層とされています。

この頃は多種多様な形態の奇妙な生物が登場し、環境に適合するため進化により将来への模索が行われた「カンブリアの大爆発」と呼ばれるエネルギッシュな時期でした。
カンブリアのエネルギーはこの地の人々の生活文化を育くみ、現代まで連綿と続いて来ました。

平安時代に編纂されて日本最古の常陸国風土記に、「密筑(水木)里は海の幸、山の幸が豊かですべてを書き尽くすことができない」と、この地の豊かさが記されています。カンブリア紀の地層から滲み出た水が、大地や沿岸の磯に養分を与えてくれたのです。

この地ではお客様をもてなす湯として、古より「かじめ湯」「潮湯」「焼き石湯」など、海洋資源を活用した湯がありました。当館では独自の【カンブリアの湯】として、現代に復活出来ることになりました。 

磯に繁茂している昆布科の海藻であるカジメを湯に入れて、水木濱のアワビ漁師は冷えた体を温めました。肌がツルツルとし、湯冷めしないと今でも評価、継承される文化価値のある湯です。

古代より製塩が盛んだった水木濱で、高い塩分濃度の海水を沸かし、海水浴客をもてなしていました。万病に効く湯として塩湯治が評判になり、夏以降の農閑期にも湯治客がありました。

水木濱から6キロ北にある鮎川濱で、カンブリア地層から削られ流され着いた青緑色の石を焼いて、海水だまりに入れて沸かした湯がありました。江戸時代から昭和の中頃まで続き、野趣性に富んだ珍しい湯は評判になり文人墨客も訪れました。

日本列島創生のエネルギーや太古のロマンがたっぷりと詰まった【カンブリアの湯】にゆったりと浸かり、悠久の時の流れに想いを馳せながら心と身体を癒してください。

茨城大学名誉教授
日立市郷土博物館特別専門員
田切 美智雄

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